これからシリーズものとして書き始めますので、
少し長くなりますが、ご容赦のうえお付き合い頂ければと存じます。
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外国人のビザ申請手続きで許可を得るコツ
2018.08.02
萩原行政書士事務所
これまで外国人のビザ取得について、様々なケースで入国管理局にビザ申請手続きを行ってきました。
この数か月だけでも、東京入国管理局の品川、川崎、埼玉、水戸出張所に赴き、許可であったり不許可であったりと、いろいろな経験をしております。
ちょっとした小旅行を兼ねた各地の出張所訪問は、自身にとっての気晴らしにはなりますが、移動のための時間や交通費は必要経費とは言っても結構疲労もたまってきます。
こうして貴重な経験を積む中で入国管理局による許可・不許可の審査結果は、事前の申請段階で少しずつですが見当がつくようになってきました。
次回はその辺に踏み込んで少し触れてみたいと思います。
乞うご期待
ではまた
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外国人のビザ 許可を得るコツ!
(その1)
2018.08.06
これまでの経験から、
事前の申請段階で感じた出来栄え
すなわち準備した申請書類と
それに伴う申請の実質的な内容が
どうであったかについて
弊事務所にて独自に評価した
「許可」・「疑問あり不許可も考えられる」の事案は、
そのほとんどが
事前に予想した通りになっています。
つまり事前予想通りに
ほとんどのケースで
入国管理局や海外にある日本大使館・総領事館の
許可であったり、不許可であったりと、
行政処分の結果として表れてきていると言えるのです。
まるで大学受験の時の
自己採点と実際の大学合否結果に近い印象
と言ったら分かり易いのでしょうか。
例外的な事例もあります。
日本国の法令違反、犯罪歴のある外国人、
オーバーステイ、留学生による28時間以上のバイト、
日本国内では見えない当該外国人の本国における事情や状況等々につき、
申請人本人が事実関係について真実を述べてくれない・過去の不都合を隠していて、
行政書士は本当のところが見えていない状態での申請は、
事前予想通りの結果にはなりません。
今回はここまで
次回をお楽しみに
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外国人のビザ 許可を得るコツ!
(その2)
2018.08.25
はじめに触れておきたいことは、日本はご存知の通り法治国家ですから
どんなことをするにも国内の法令を遵守する義務があるという点です。
外国人のビザについて申し上げると、査証と在留資格についてです。
査証は、外務省本省と海外にある日本の大使館・総領事館が窓口となって担当しています。
日本国内における外国人の在留関係手続は、法務省の入国管理局が担当です。
なかには各地の地方自治体が窓口となって行うことのできる事務もあります。
入国管理局の職務は、法律である「出入国管理及び難民認定法」、政令である「出入国管理及び難民認定法施行令」、省令である「出入国管理及び難民認定法施行規則」やいわゆる「上陸基準省令」、その他の各種関連の訓令・指針ほか、例えば法務省入国管理局の作成した「入国・在留審査要領」等々が関係してきます。
外国人のビザを取り扱う際には、これらの関連法令の遵守を常に念頭において所要の作業を進める必要があります。
行政書士、特に各地の入国管理局長から交付された「届出済証明書」(いわゆるピンクカード)を所持している行政書士は、この分野の専門家です。
新しい法改正や関連官庁の公表している情報を常々注視し、ご相談者に対して適切・適正なご案内ができるような状態にしていくことが求められています。
それによって始めてご相談者に満足されるサービスを提供できるのではないでしょうか。
今回はここまでです。
ではまた
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外国人のビザ 許可を得るコツ!
(その3)
2018.10.20
これまでシリーズの(その2)で入国管理局の所掌する職務について、簡単に該当する関係法令を名称だけでしたけれども触れてきました。
今回からこれら関係法令を踏まえ、その内容について、特に訪日・滞在を希望する外国人から見た視点でのポイントにつき、いくつかご案内していきたいと思います。
まず基本となるのは、法治国家の日本ですから法令の骨格となる「出入国及び難民認定法」という法律を念頭に置いて説明を始めることとします。
外国人が日本に在留する際に行おうとする活動の範囲を、この法律の第19条で示した別表で詳しく定めていて、ここに規定する在留資格(28種類)と「難民」を含めた全29種類が日本での在留を認められる活動となります。
日本に在留しようとする外国人はこのカテゴリーのいずれかに該当する活動を行う目的で所要の手続きを進める必要があります。
余談ですが、これまでの実務でこのカテゴリーに該当しない方が訪日ビザの申請を希望して相談してこられたケースがありました。
相談者いわく、海外の某国では実際に認められている制度で、どうして日本にはこの制度が認められていないのかといったもので、ちょっと困ったケースでした。
日本の主権下にある領域では、日本の国内法令に反することはできません。
たとえ海外では有効な制度であっても、そのまま日本で認められるかどうか?
全て日本の国内法令や裁判所の判例等により決まってくることとなります。
なお、 在留資格一覧は、入国管理局のホームページに本年8月掲載されました。
以下にURLをupしておきますので、参考にしてください。
入国管理局HPのURL
www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.html
http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.pdf
今回はここまでです。
ではまた
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外国人のビザ 許可を得るコツ!!
(その4)
2018.10.24
許可・不許可の分岐点は?
これまでに実務上経験した事例を踏まえて、ポイントとなる全体像に触れていきます。
ビザ申請が不許可となるケースには、次のような事由があげられます。
1.「在留資格該当性」の有無
2.「上陸許可基準適合性」
3.在留資格更新・期間変更の「相当性」
4.就職の場合:職務内容と本人の専門性の不一致
5.就職の場合:就職先企業の問題
6.外国人個人の問題
シリーズ(その3)では、入管法第19条に規定する活動の範囲について言及し、具体的な在留資格を入管局のURLを掲載して示しています。
これは上記1.の「在留資格該当性」に係わる在留資格の種類についての説明でした。
在留資格該当性の有無とは、簡単に言えば、同法第19条別表にあてはまる活動(該当している)かどうかというで、法務省入国管理局が判断することです。
なお、在留資格該当性の有無を判断する場合には、その活動が「安定的・継続的」であるかどうかも含めて審査されます。
今回はここまで
これから順次このシリーズも記事としてUPしていきます。
ではまた
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外国人のビザ 許可を得るコツ!!
(その5)
2018.11.12
在留資格の種類のうち別表第一に定められているのは活動資格ともいわれており、大きく分けると就労資格(①外交、②公用、③教授、④芸術、⑤宗教、⑥報道、⑦高度専門職1号・2号、⑧経営・管理、⑨法律・会計業務、⑩医療、⑪研究、⑫教育、⑬技術・人文知識・国際業務、⑭企業内転勤、⑮興行、⑯技能、⑰技能実習、⑱介護)と非就労資格(⑲文化活動、⑳短期滞在、㉑留学、㉒研修、㉓家族滞在)になります。
非就労資格のうち㉑から㉓は基準省令の適用があり、一定の条件下ですが資格外活動許可を得てアルバイトをすることは認められます。
なお、㉔特定活動の在留資格については、個別の指定により就労が認められます。
また、別表第二に定められている在留資格(㉕永住者、㉖日本人の配偶者等、㉗永住者の配偶者等、㉘定住者)は居住資格ともいわれ、在留活動の制限はありません。
今回はここまで。
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外国人のビザ 許可を得るコツ!
(その6)
2018.11.15
在留資格該当性の次に知っておきたいのは上陸許可基準適合性についてです。
上陸許可基準は、法務省の省令で定められており、在留資格に該当する活動を継続的に行うことが可能であることについて客観的に証明するために満たすべき上陸許可の基準です。
在留資格の中にはこの基準への適合性を求められているものがあります。
在留資格の種類でいいますと、以下の在留資格です。
番号は、連載シリーズ「外国人のビザ 許可を得るコツ!(その5)」に列挙したものを引用しています。
⑦高度専門職1号・2号、⑧経営・管理、⑨法律・会計業務、⑩医療、⑪研究、⑫教育、⑬技術・人文知識・国際業務、⑭企業内転勤、⑮興行、⑯技能、⑰技能実習、⑱介護、㉑留学、㉒研修、㉓家族滞在、㉔特定活動の一部(別表第一・五の表・ロに係る部分)
一方、上陸許可基準がない、すなわち適用されない在留資格もあり、以下の在留資格が上陸許可基準適合性の適用対象外となっています。
①外交、②公用、③教授、④芸術、⑤宗教、⑥報道、⑲文化活動、⑳短期滞在、㉔特定活動の一部(告示外特定活動)、㉕永住者、㉖日本人の配偶者等、㉗永住者の配偶者等、㉘定住者
適用対象外となる在留資格の場合には在留資格該当性を満たせば上陸許可されるということになります。
では具体的に見てみましょう。
例えば、外国人が日本で通訳として働く場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当します。
この上陸許可基準は、大学卒・これと同等以上の教育を受けていることという学歴要件や、
従事する業務に3年以上の実務経験を有するといった実務要件、日本人と同等以上の報酬を受けるという報酬要件があり、これらの要件を満たさなければならないというのが上陸許可基準適合性のことです。
今回はここまでです。
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外国人のビザ 許可を得るコツ!
(その7) 在留資格変更・期間更新の「相当性」
2018.11.21
今回は在留資格の変更や在留期間の更新に係わる「相当性」についてのご案内です。
入国管理局への申請が不許可となるポイントの一つで、このシリーズで既に触れてきた在留資格該当性や上陸許可基準適合性の他に、この「相当性」があります。
相当性は「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン(改正)」に示されていて、入管局における審査の判断材料となっており、申請者が証明しなければなりません。
入管局により「相当性」がないと判断されると、不許可になります。
この「相当性」の判断については、これまでの在留資格該当性と上陸許可基準適合性の他に、5つの項目を挙げています。
〇素行が不良でないこと
〇独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
〇雇用・労働条件が適正であること
〇納税義務を履行していること
〇入管法に定める届出等の義務を履行していること
入管局はこれらの事情を勘案して、在留資格の変更や在留期間の更新につき「相当性」を判断することになります。
今回はここまで
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外国人のビザ 許可を得るコツ!
(その8)
2018.11.26
前回触れた在留資格の変更や在留期間の更新に係わる「相当性」についての詳しい説明です。
この「相当性」についてガイドラインでは5つの項目を挙げていますので、少し詳しく触れてみましょう。
〇素行が不良でないこと
一般的な日常の生活において法令を守っているかどうか?です。
法令の順守をしていれば素行善良という訳です。
強制退去事由に準ずるような刑事処分を受けている場合や不法就労をあっせんする行為を行っている場合は、素行が不良であると判断されます。
〇独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
申請人の収入などを踏まえて日常生活で公共の負担にならずに独立して生活していくことが出来る、かつ、有する資産や技能から見て将来も安定した生活が見込まれる。収入は世帯(家族)全体の収入が対象となります。
生活保護など公共の負担になりそうであれば審査は慎重にならざるを得ませんが、人道上の理由が認められる場合、例えば、最近まで元気に働いていたけれども交通事故等で長期入院したため現在は生活保護を受けているといったケースでは、その理由を十分勘案して判断することになります。
〇雇用・労働条件が適正であること
日本で就労している(しようとしている)外国人は、アルバイトを含めて雇用・労働条件が労働関係法令に違反していないこと。
法令違反のケースでも雇用している会社に責任があり、外国人に責はないことも考えられるので、入管局への申請には申請人が悪いのか、会社が悪いのか正確に説明することが重要となります。
〇納税義務を履行していること
納税は国にとっては利益となるので、これは結構重要視されます。
高額・長期間の未納で悪質なものや納税義務不履行により刑罰を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。
〇入管法に定める届出等の義務を履行していること
日本に中長期間在留する外国人は、在留カードの記載が変わったとき、在留カードの有効期間の更新、在留カードの紛失等による交付申請、返納、所属機関が変わったとき、離婚をしたとき等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。
この届出をしていないと、在留資格の変更や更新の時に悪影響が出てきます。
以上ですが、少しは参考になりましたでしょうか。
今回はここまで
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行政書士 萩原伸一
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外国人のビザ 許可を得るコツ!
(その9)
このシリーズの(その4)で、不許可ケースとして考えられる要因を大きく分けて6項目列挙しました。
今回はその項目のうちの4番目にある「4.就職の場合:職務内容と本人の専門性の不一致」について取り上げます。
入国管理局へのビザ申請で最も多いと言われる在留資格の一つに「技術・人文知識・国際業務」があります。
「技人国」の在留資格取得や同資格への変更許可申請における不許可の具体例を見てみますと、
例えば、飲食店やホテル内での清掃・雑用業務のために雇用しようとしたり、大学・専門学校でデザイン・ファッション系分野を学び卒業した者に対して、ホテルのフロント業務をさせようとする、
などは企業側の求める職務内容と本人の修得した自然・人文科学分野の技術・知識や実務経験を比較考量すると専門性が不一致であるとなり許可が下りません。
また、「技能」資格で外国人シェフを雇用しようとして、実務経験につき資料等の不足により詳細な資料の追加提出を求められるような場合、いわゆる調理師の実務経験は、10年以上であることをしっかりと示さなければなりません。
具体的には、働いていた料理店の在籍証明書を提出するほか、そのお店自体の存在・経営実態・実績を証明し、かつ、シェフとしての在籍期間中の具体的な職務内容を立証しなければならない、ということなのです。
今回はここまでです。
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